神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

映画 「ゲーム」のような晩

macky-jun2008-05-31

  昨晩、あるハプニングがあった。いつものように書斎にこもってブログを書いていたら、妻が慌ただしく入ってきて、「また、あの馬鹿がやらかしてくれたよ」と、言うではないか。何でも、娘のSaoがバイトの帰り道、今日はクローズだったので大変帰りが遅かったのだが、神楽坂の坂上で交通事故にあったらしい。「また」というのは実は前科があって、Saoは大学入学してすぐの昨年4月の朝、通学の途上で交通事故に遭った。急いで飛び出したところ、車に衝突したのだった。後でよくよく聞いてみると、娘が逆に体当たりしてしまったようで、まさに当たり屋を演じてしまった訳だ。幸い軽傷で大したことはなかったが、救急車で運ばれていったり、人通りも多い所だったのでちょっとした騒ぎにはなった。その時は運転をしていた相手のおじさんにつくづく同情してしまった。さぞ、心臓が止まるような思いをしたに違いない。 そういうあっけらかんとしたところのある娘であり、「また、やらかしてくれたよ」という妻の言葉に、またかと思った。「怪我はしなかったのか?大丈夫なのか?」と聞き返すと、「自分で電話してきたので大したことはないようだ」と言う。だけど、自分は救急車に一緒に乗らなければならないし、事故の相手との交渉や警察の取り調べがあるので、至急、着替えて一緒に来てくれ、と言われ、焦って着替え、二人で急いで現場に向かうべく、家を出た。ドキドキしながら不安な気持ちいっぱいで急いだのだった。
 家を出てすぐの交差点で、娘のSaoに似た女性が近づいてくるではないか。いや、Saoはこんなに細くないし、背ももう少し低かったはずだと思いつつも、「おかしいぞ。事故現場はもっと先のはずなのに、大したことはなく、帰ってきてしまったのか?勝手に現場を離れちゃだめじゃないか。保険の交渉だってしなければならないのに。」と短時間でいろいろなことが頭の中で巡った。顔がやけに青白い気もしたので、「本当に生きているSaoなの?」とも思った。その時だった。目の前にいたのはやはりSaoであり、背中に隠していた花束を持って近づいて来て、いきなり「おめでとう」と言ってきた。と、同時に背後から妻と息子が「50歳誕生日おめでとう」とクラッカーを鳴らすではないか。驚いて、心臓が止まりそうになった。「どっきり」の演出だった。びっくりしたのと、嵌められたという悔しい気持ちと、もちろん嬉しさもあり、複雑な心境だった。ちょうど日付が変わったばかりの12時だった。深夜の路上で、しかも家族4人が揃って、大きな声で騒いで、恥ずかしさいっぱいで、すぐ家に帰った。
 いつのまにか準備宜しくスパークリングワインが冷やしてあって、ダイニングで乾杯した。息子から「半世紀生きたね」と言われた。このアイディアは彼が考えた演出だった。映画好きな息子はマイケル・ダグラスショーン・ペンが出演する1997年の映画「ゲーム」からヒントを得たらしい。この作品は俺も大好きで、これまで何度か息子と観たことがあった。ダグラス扮する成功した経営者が48歳の誕生日に、ペン扮する弟から「わくわくするような会員制の人生ゲーム」への入会というプレゼントを貰う。が、その会員制クラブはとんでもない喰わせ者で、そのあと物語は二転三転し、主人公は精神的にも追い込まれてボロボロになっていく。最後にあっと驚くような結末が待っている。内容についてはこちらのブログを見てください。http://blogs.dion.ne.jp/cio_z7/archives/5699675.html
 その晩、ブログを書くことに熱中していたので、自分が50歳の誕生日を迎える瞬間を忘れていた矢先に、手荒いプレゼントを貰った。2時間前までは「あと少しで俺も50だよ」と妻に言っていたのに・・・。それにしても、妻の迫真の演技にまんまと騙された。さすが芸術系出身。というよりも騙されやすい自分を心配した方がいいのかもしれない。50歳の記念すべき誕生日を忘れ難い演出で祝ってくれた家族に感謝したい。ちょっぴり、マイケル・ダグラスになれた気分の一夜でした。