神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

新興市場の光と影(3)-閉塞感漂う市場-

macky-jun2008-05-22

 今日は久々に会社帰りにジムに寄り、ハイローコンボのS先生の激しいレッスンを受け、ヘトヘトに疲れて帰ってきた。ここ2週間も偶々、木曜日と週末に予定が入っており、ジムに行けなかった。暫く行かないと行くのが億劫になるが、気合いを入れて行ってきた。目一杯汗をかくと、気持ちがいい。つまらぬ悩みも一瞬だが吹っ飛んでしまう。
 しかし現実に戻ると、現在の経済環境はあまりにも厳しく、明るい話題は殆ど見出すことができない。サブプライム問題が転機となり、大きく世界の経済構造が変化しようとしている。不動産の動きが止まり、銀行も傷んだことから、貸し渋りに走っており、ベンチャー企業が特に厳しい状況にさらされている。また、不動産業界はどこも苦しい状況だ。
 2000〜2001年のITバブル、2005〜2006年の新興市場ネット投資家バブル(正式名称は無いので、現象面から捉えるてこう名付けました)と常に何年おきかにバブルとその崩壊を繰り返している。行き過ぎると弾けてしまう。それでマーケットが正常化(清浄化)されていく。その渦中にいると、行き過ぎているのか否かの判断はとても難しい。
 新興市場のバーの引き上げで、IPOのルールが変わった。巷間言われるような「量から質」の時代への転換である。新興市場ができた1999年以降、IPOが注目されるようになり、まずは実績を積み上げようということで、市場も主幹事証券も監査法人もVCも積極的にIPO社数を積み上げ、これまで1000社超の公開企業を輩出した。しかし、公開企業の不祥事の続出、闇勢力の侵入等で新興市場に対する不信感が増大し、株価は2006/1ピーク時の1/4〜1/5にまで低迷している。市場は審査を厳格化し、業績・内部管理体制などにより会社を選別化し、質を重視した会社をのみ上場させるということで、上場までのプロセスが極めて険しくなったのである。
 4月の新規公開が1社、5月も1社のみ、6月の承認はまだない状況で、IPO市場は現状、開店休業状態と言ったらいいのだろう。おまけに09/1からの株券電子化で年末の公開は無くなると言われているので、とても厳しい状況が待っている。東証大証ほか市場はまるで新規公開など当面させなくていいとさえ思っているのではないだろうか。緩み切った市場の規律が確立するまではこのような状況が続くのではないかと思う。我々VCとしては投資の出口が塞がれ、仮に苦労して狭き門を上がっても株価がつかず、キャピタルゲインも得られない。まったく面白くない状況である。
 こんな状況なので、企業側の公開意欲も減退しており、IPOを見送る企業も増えている。公開しても公募で満足な資金調達はできない、公開準備には今まで以上にやることが増え、コストがもの凄くかかる、公開できても大した創業者利潤が得られない、なまじ公開すればTOBリスクには常に頭を悩ませなければならない、4半期開示のディスクロージャーも頭が痛い・・・・。確かに、こう書き連ねるだけで経営者がIPOをどうしようかと悩む気持ちがわかります。
 我々キャピタリストとしては、入り口での投資機会が減少、過去投資した会社の公開も順調に進まない、もしくは経営危機に瀕する企業も増大、そこまでいくと我々も手の施しようがない。とても閉塞感のある状況に追い込まれている。リスクばかり高く、やる気が起きない。こんな時は何をどう頑張ればいいのだろうか。珍しく、仕事の仕方がわからなくなった、というか迷っている。
 確かに、歴史的に見れば、92年、98年にやはり似たような状況で、新規公開件数が大きく落ち込んだ時があった。そのタイミングでは入口での投資件数も減ったと記憶している。市場はいつまでもこのような状況が続くわけではなく、必ず山・谷があるので、ダメな時はどうあがいてもダメなのだ。ただじっと嵐が通り過ぎるのを待つしかない。いずれ必ずいい風が吹く時がやってこよう。その時に風に乗ることができるか、旗をなびかせることができるか。じっと待つしかなさそうである。