神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

聖火リレー騒動でチベット問題を考える

macky-jun2008-04-26

 長野で行われた北京五輪聖火リレーが、26日厳戒態勢のもとで行われたにもかかわらず、騒然となった。チベット問題が全て根源にあるのだが、赤い旗をなびかせた中国人留学生たちの一団とチベット支援者グループと右翼団体等がにらみ合い、小競り合いが起き、怪我人も発生した。
 有名人やスポーツ選手を含めた聖火ランナーの華々しい行事も、とんでもない騒動の元になってしまった。中国政府は前日、ダライ・ラマ14世側との対話を再開する意向を表明した。国際的な圧力への譲歩であるが、チベット問題を解決する道のりは遠い。過去6回の接触では実質的な進展はなかった。
 3月に発生したチベット騒乱について、中国政府は報道管制を敷いており、現地の実情はわからない。死亡者や逮捕者の数も中国政府が公表している数字よりも、一桁以上多いとの情報もある。例の餃子毒物混入事件を始め、事実が語られず、中国政府の発表を信じていいのか疑問に思うことが増えている。
 そもそも「チベット問題」とは何なのか。中国清朝の時代、チベットは清と英国の双方の影響下にありました。清朝が崩壊し、先代のダライ・ラマ13世はチベット独立を宣言しましたが、国際社会の承認が得られず、新たに成立した中華民国チベットを自国の領土だと宣言します。以降、主権と自治を巡り平行線をたどります。49年の中華人民共和国成立後、51年に中国軍がラサに侵攻、59年に動乱を軍が鎮圧し、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世がインドに脱出、ダラムサラに亡命政府を樹立する。歴史的にはこんな流れがあります。
 新中国政府は「チベットを開放する」と宣言しながら、世界の視線が朝鮮戦争に注がれている中で、多数の軍をチベットに送りました。チベット政府は中国の侵略だと訴えましたが、無視されてしまいました。中国にとってチベットは対インドで国境に接していて、軍事上も大切な地域です。また、資源問題も重要です。
 ダライ・ラマ観音菩薩の化身であり、生き仏であり、チベット人の敬愛を受けています。日本には度々来日しており、先日も来ておりました。気さくな素晴らしい人格を持った方のようです。中国の経済力の庇護が必要なことを認識しており、決してチベットの独立を求めてはいない。自治権だけを求めており、チベット文化の擁護を望んでいる、との主張はとてもバランス感覚に優れていると思います。中国はチベット文化の破壊⇒中国化を進めています。
多民族を抱える広大な国として、他の民族の文化を尊重し、自由を与えて欲しいと強く願います。
 先般、渡辺一枝さんのチベット写真展に行く機会があり、その時からチベットを強く意識するようになり、自分たち日本人に顔や姿が似た民族だと知り、とても愛着が湧きました。チベットで起きている問題に心痛めてきました。大国の覇権の争いが歴史なのかもしれないけど、エゴイズムを捨てて欲しい。世界の平和の祭典がオリンピック大会のはずです。かつてヒトラーベルリンオリンピックナチスドイツの国威発揚に利用したように、中国が同じような野望を持っているような気がして心配です。北京オリンピックの成功が日本にとって、世界にとって、いいことなのか複雑なものがあります。