神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

清水佑三さんに捧ぐ(その4)-著作について-

macky-jun2008-04-18

新しいオフィスで1週間が過ぎ、すっかり慣れてきた。仕事も忙しくなってきた。前向きの新しい投資の話も、後ろ向きの話もあり、活発に動き出した。日比谷公園や国会議事堂が眺められる会議室で、顧客と話をしていると前向きになれる。環境を変えると閉塞感をぶち破る元気も湧いてくるから不思議なものだ。まずは形から入れというのも真理か。
 この1週間、結構疲れたので今朝(土曜日)は遅めに起き、ゆっくりTV(「うふふのプ」の後釜「にじいろジーン」)を観ながら朝食を食べる。さて昨日書かなかったブログを書こうと机に向かったが、エンジンがなかなかかからないので、近藤等則というJazzトランペッターの「Brain War」に合わせ、書斎でエアロウォークを踊る。少し動いただけで体が熱くなる。近藤等則は日本よりも海外で有名なパンクっぽいペットを吹くミュージシャンだ。91年のCDだけど、最近はどうしているのだろうか。ドイツにいた88年頃に、ビヤホールで話かけてきたドイツ人から「Toshinori Kondoを知っているか?」と聞かれて、初めて意識するようになったミュージシャンだ。自分に「活」を入れるときにはいいアルバムだ。
 振り返ってみたら、4月はブログを休んだのが3日と17日のみで13日も連続で書いた。特に、「清水佑三さんに捧ぐ」3部作では157行、約6,000字で原稿用紙にすると15枚。先週金曜日の突然の訃報から1週間が明け、そのショックを乗り越え、今までの清水さんとの思い出を振り返ってみた。キャピタリストと社長という立場で出会ってから、12年間、この案件を通して成長できたと思っているし、彼からはいろいろなことを教わった。
 彼は人間観察のプロであったし、それを「人事コンサルタント」として職業とし、多くの著作で人間の見方を披露してくれた。彼の本は殆ど持っているが、どれを読んでも面白いのだが、特に私が好きなのは「20代で読むヒト学ココロ学」95/5刊(PHP文庫)と「なぜこの男のまわりに女が集まるのか」95/12(PHP研究所)の2冊だ。
 「20代で」は生きてきた時間がまだ少なく、人間の取扱いになれていない、若い読者を想定して書かれているが、清水さんの博学な知識と、生き方の知恵を温かいメッセージ・エッセイの形式で100話修めている。人生の過半を過ぎた人間が読んでも十分面白く、繰り返し読んでも飽きることがない。例えば(「いい人」とは、どういう悪い局面や状況に遭遇しても、それを人間どうしの関係に持ち込ませない技術を持った人だ。いい人とは、性格がいい人という意味ではない。性格とは全く次元の違う運転技術の上手下手をいう。誰でも技術を覚えれば「いい人」になれる。むしろ生まれた時から「いい人」「悪い人」があるという考え方こそ間違いである。)深いでしょう。清水佑三さんの知性がたっぷり詰まった本だ。

 「なぜこの男のまわりに」は彼の3作目で、前2作が読書生活(思索の世界)から得たものを中心に書かれたが、この本は自分の経験をよりどころにして、一冊の参考書も辞書も持たず、頭の中に浮かぶものを、初めて取った夏休み1週間で書き上げたという本らしい。テーマは「人間を楽しむ」で、人間のやる馬鹿なことを温かく捉えている。文体はかなり柔らかくて、適度にエッチで、まるで清水さんと会話をしている感覚が味わえる本です。 
 清水さんとお話することはもう二度とできない。しかし、彼の残したたくさんの著作を読むことによって、また彼の思いを知ることができるのは素晴らしいことだと思っています。彼は永遠に我々に語りかけ、心に残っていくことだろう。
 そう言えば、昨晩、清水さんが私の夢の中に出てきました。顔は以前のようにふっくらとされ、血色も良く、にっこりと笑われていましたので、「治られたのですか」と思わず話しかけてしまいました。