神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

渡辺一枝「チベットを馬で行く」

macky-jun2008-03-29

 鎌倉の友人K女史からメールを貰い、渡辺一枝さんの「チベットを馬で行く」を薦められた。K女史はなんでも大学時代に点訳を始め、途中育児で中断はあったものの、現在は点訳ボランティア養成の仕事をしている。10年前にこの本を点訳したとのこと。文庫本で668ページもある、普通の3冊分くらいある大変分厚い本だ。完成するまで2年かかったとのこと。何しろ外国語への翻訳ならず、点字への翻訳だ。想像がつかないけど、大変な作業なんだと思う。「一枝さんがその長く厳しい馬の旅を、どんな時も幸せな思いでいっぱいだったのが私にも伝わってきて、私の点訳の旅もまた、幸せで仕方ありませんでした。」と心情を書いてくれた。
 この日、外堀の満開に咲く桜を目指して花見客が町には溢れていて、もの凄い人どおりだった。飯田橋から神楽坂の本屋を探したが、夫の椎名誠さんの本はどこにでもあったが、渡辺一枝さんの本が不思議と見当たらなかった。5軒目に行ったセッションハウスに一番近い本屋さんに「チベットを馬で行く」がなんと平積みで置いてあった。08/2に出版したばかりの写真集「風の馬 ルンタ」も欲しかったが、取次でも品切れとのこと。取り敢えず「チベットを馬で行く」(文春文庫1,000円)を購入し、目的は果たした。途中寄ったブックオフ椎名誠さんの本も3冊購入(どこにでも沢山あるから:笑)。
 まだ少し読んだだけですが、文章は巧いし、読みやすいし、一枝さんのチベット空間に惹きこまれていきます。「何故チベットに惹かれ続けたのか、その理由を私自身が知りたかった。最初の旅では「何故?」の答えは見つからなかったけれど、チベット人と共に居るだけで嬉しい自分を発見していた。」「チャンタン高原をぐるうっと馬で行ってみたい。車の速度ではなく、もっとのんびりゆっくり、辺りのすべてを感じながら・・・。4000キロを半年近くの長期間・馬で・女性が、の3つの初をいともしなやかに駆け抜けたチベット紀行」である。
 結局、一枝さんはチベットを通じて、自分自身を発見したかったのだろうか。当世流に自分探しというと如何にも軽く聞こえ、失礼にあたるが、チベットに惹かれ続ける自分自身が何たるかを知りたかったのではないだろうか。また、身近に椎名誠という格好のロールモデルがいたことも全く無縁ではなかろう。
 一枝さんはあの華奢な上品な体に、どれだけのエネルギーがあるのか不思議な人である。だけど、彼女は中学・高校・大学と山岳部に所属しており、椎名さんとの出会いもお互い山好きだったからとのこと。小生も大学時代ワンゲル部で山に登っていたので、一枝さんには初対面で相通じる部分を感じたのだと思います。
写真は飯田橋側から見た夕方の外堀の桜です。