神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

キャピタリストとしての醍醐味

macky-jun2008-01-10

  キャピタリストの仕事の面白みはいろいろあるが、小生が一番の醍醐味と感じる瞬間は、経営者との差しの面談の時である。そこではいつも、柔らかい雰囲気を作りながら、一方で真剣で果し合いをするような武士の面持ちで望んでいる。
 そこで経営者から語られる「何故この事業を始めることとなったのか(動機)」、「会社の沿革(歴史)」、「業界の環境認識」、「ビジネスモデル(どうして収益を稼いでいくか)」、「自社の強み弱み(SWOT分析)」、「今後のビジネス構想(事業計画)」、「リスクシナリオに対する対応法」、「何のために公開をするのか」、「今回のファイナンスの目的(資本政策)」といった内容に経営者としての哲学・志・信念が現われてくる。いわば経営者として相応しいか人間のスケールが投影されてくる。すなわち、キャピタリストはビジネスの話を聞きながら、経営者が「言っていることを成し遂げられる人物かどうか」の人物鑑定を行っているのである。
 もちろん、会社は経営者のみでやっているわけではなく、社員含め、株主、取引先(仕入・販売先・事業提携パートナー)、取引銀行等多くのステークホルダーを含めた総合力である。但し、アーリーステージ企業になればなるほど、成否は経営者の占める割合が多く、経験則的に80〜90%は経営者の人物次第であると思われる。
 こういう面談で素晴らしい経営者に会えると、「この仕事をしていて良かった」とつくづく幸せを感じる。今日も会った経営者にそういう感じを持った。半年前から付き合ってきた人だったが、ファイナンスの話があり、初めて「これまでの沿革」と「何故この会社が強みを持てるのに至ったか」「何が会社の弱みで何が不足しているか」と「今後の事業構想」を体系的に聞け、これまで断片的に聞いてきたことが一本のラインでつながった。
 具体的には書けないが、ある伝統的な事業をされてきた会社で実績もある。但し、それだけだとIPOをしても面白さはないということもあり、成長事業として中国でのビジネス展開を進出する日系・外国企業との関係で構築していくという構想。この会社の強みは事業再生力にある。弱った企業の有望事業を再生し、M&Aすることで事業基盤を拡充してきた。他社がうまくやれないことを創意工夫で伸ばしてきた。彼がこれまで手がけてきた幾つかの(有名上場企業も含めた)企業再生の手腕から新規事業についても、彼らしい手堅い手法で進め、携わる社員の心を捕らえていくだろうということが予想される。
 素晴らしい人物に仕事を通して会える、というのは我々の仕事に限らず、どの世界でもある。特にベンチャービジネスの経営者は、大企業のサラリーマン経営者と違って、リスクを取って、独自の着想のもとで、頑張っている人が多いので、魅力的な人物が多い。そうした経営者との出会いで勇気とエネルギーをチャージしてもらっている。
 明日は医師出身のネット事業を行う若い経営者に会うが、どんな出会いが待っているだろうか。