神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

ニジンスキー・ガラ

macky-jun2012-01-12

 東京バレエ団の2012新春公演「ニジンスキー・ガラ」を観てきた。上野の東京文化会館で7時からの開演であり、仕事の帰りに妻と待ち合わせた。妻が予約したのはS席の前から5番目というとても好い席だった。
 20世紀の初頭にセルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュスに参加したワスラフ・ニジンスキーは稀代の天才ダンサーだったという。その彼が踊った演目から、今回は「薔薇の精」「牧神の午後」「レ・シルフィード」「ペトルーシュカ」の4作品が上演された。東京バレエ団では1998年以来、4度目となる「ニジンスキー・ガラ」であり、日本では同バレエ団以外ではなかなか観られない演目である。
 この演目は10数年前に買ったLDパリ・オペラ座バレエ「ディアギレフの夕べ」(1990/1作品)で馴染のものであり、いつか生で観たいとずっと想ってきたものだった。同盤では「ペトルーシュカ」の踊り子をモニク・ルディエールが、薔薇の精をマニュエル・ルグリが、「牧神の午後」の牧神をシャルル・ジュードが、ニンフをマリ=クロード・ピエトラガラが演じており、まさにパリ・オペラ座バレエ団黄金期の凄いメンバーだ。
 この日はウラジミール・マラーホフと新進のディヌ・タマズラカルをゲストに迎え、マラーホフは牧神とペトルーシュカの2役を、タマズラカルは薔薇の精を演じた。マラーホフベルリン国立バレエ団で芸術監督も務め、プリンシパルとしても若々しく、チャームでときにセクシーな表現力を持ったダンサーだ。
 ウェーバーの音楽に振付けられた「薔薇の精」は退屈なので、あまり好きではないのだが、タマズラカルのきびきびした動きと割れて形のいいお尻が最後まで気になった。
 私はドビュッシー前奏曲が流れる「牧神の午後」のエロチックな、訳のわからない演目が好きだ。ニンフの残したスカーフで自慰行為をするという牧神の舞台は、当時ショッキングで、賛否両論の嵐が吹き荒れたようだ。可笑しなポーズを真面目に演じるマラーホフがとてもユーモラスだった。上野水香は登場が短すぎて、充分な実力を見せることができなかった。 
 「レ・シルフィード」はショパンピアノ曲を用いた一幕物のバレエだが、私にとってはこれも退屈な作品だった。しかし、群舞が透明感がありきれいだったのと、吉岡美佳はとても色気のあるダンサーだと思った。
 「ペトルーシュカ」が最も好きな作品で、最後を飾るのに相応しい、賑やかな楽しい演目だ。謝肉祭で賑わうサンクトペテルブルグが舞台で、様々な人々が登場する。主役は人形であるペトルーシュカマラーホフ)と踊り子(小出領子)とムーア人(後藤晴雄)である。ストーリーは恋に破れたペトルーシュカムーア人に刺殺されるという悲しい話であるのだが、ストラビンスキーの音楽と共に盛り上がる作品だ。これが観たくて今日はやってきたと言ってもいい。
 東京バレエ団は妻のお気に入りのバレエ団だ。こうしたユニークな舞台を催すことができ、一流のダンサーを招待できる力を持ち、いま日本では最も勢いのあるバレエ団だと感じた。