神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

 クジラとマグロの話

macky-jun2010-03-14

 刺身が好きである。マグロとクジラの刺身は特に美味い。中でも最高級のクロマグロの刺身は格別であろう。高いのでなかなか食べることはできないのだが、それが更に難しくなりそうな不穏な動きがある。
 日本の海の周りで騒ぎが大きくなっている。一つはクジラを巡る話だ。捕鯨反対を主張する暴力集団「シー・シェパード」のベスーン船長が先日逮捕された。日本は調査捕鯨という名目で捕鯨を続けているが、それを目の敵にしている。彼らの行動は過激だ。80年にはポルトガルリスボン捕鯨船を爆破して沈没させ、86年にはアイスランドレイキャビク捕鯨船やクジラ解体工場を破壊した。しかしながら、彼らの行為を英雄視する人々もいる。国際的に反対する国々が増えている。
 国際捕鯨委員会IWC)はクジラの保護のため、1982年に商業目的の捕鯨の一時禁止が決まり、南極海、北西太平洋で商業捕鯨再開のための調査目的の捕鯨を始めた。特に94年以降、その数は年々増えている。日本以外には捕鯨国はノルウェーアイスランドだけだが、公海では日本だけだ。
 二つ目にクロマグロであるが、この世界もモナコ提案がきっかけになり、米国・EUもそれぞれ同調し、日本は立場が悪くなっている。日本は世界のクロマグロの大半を消費するが、こちらも包囲網に追い込まれており、ひょっとしたら近い将来、クロマグロを食べることができなくなるかもしれない。クジラにクロマグロ、日本の食文化が失われようとしている。
 三つ目は先般のアカデミー賞である。同ドキュメント賞に「ザ・コーブ」という映画が選ばれたが、これは和歌山県太地町に伝わるイルカ漁を題材にしたもので、同町の入り江の追い込み漁を隠し撮りされたものだ。
 いずれも日本の漁に対する、世界中からの非難の嵐が吹き荒れているようだ。たぶんに動物愛護とか、感情的な非難が多いように思う。本当にこれらはワシントン条約に違反するような、絶滅種に該当するものなのか。このままのペースで漁を続ければ、減少してしまうのだろうか。
 クロマグロは大西洋では確かに減少しているとの統計があり、言いだしっぺのモナコがある地中海では特に50年前に比べ、1/4に減少しているという。しかし、太平洋では減っていないらしい。クジラはどうであろうか。調査捕鯨のみに変わってから、頭数は増えていないだろうか。米国はかつて捕鯨大国であった。油を求め、捕鯨基地として日本にやってきた。その後、政策をガラッと変えてきた。
 クジラはその巨体ゆえに、海の水産資源を食い荒らす。しかも半端でない量の他の魚を食べてしまうのだ。このままクジラを動物愛護の名のもとで、放置すれば、他の水産資源は減少する。我々人間の貴重な食料をクジラに取られてしまうのだ。クジラは日本人にとっては、昔から馴染み深い食料資源だった。豊富なタンパク源は育ちざかりの小中学生の給食によく登場した。鯨の竜田揚げだったが、とっても懐かしい味である。
 日本は商業捕鯨再開に十分なクジラはいるとの立場であるが、反捕鯨国からは科学的データが足りないと反論されている。日本の食文化を守るためとか、クジラは頭脳を持った動物だから保護すべきだとか、感情論で議論すべきではなく、データを揃え、論理的に、そしてもっと戦略的に闘う必要があろう。