神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

(9) -老兵ワトソンに乾杯-

macky-jun2009-07-21

 トム・ワトソンが負けた。最も美しいと言われるターンベリーでの全英オープンでの最終日。黄昏の18番ホール。59歳のワトソンにはもはやエネルギーが残っていなかった。17番でバーディーを取り、単独首位となった。しかし、8番アイアンで打った第2打は、グリーンをオーバーした。9番で打つべきだったと述懐するこのクラブ選択に、ワトソンは生涯後悔するだろう。そして、優勝のかかった2.5mのパットを外す。プレーオフを3ホール闘うが、彼は4日間の闘いで、精魂尽き果てていた。36歳のシンクには敵わなかった。
 優勝したシンク(辛苦)もこれまで散々、辛酸を舐めてきたゴルファーだ。2周りも年齢が違うワトソンは、子供の頃からの憧れの選手だ。その彼と全英の優勝を争うとは夢にも思わなかっただろう。シンクはこれまでメジャーには一度も勝っていない。2001年の全米オープンで最終日18番にわずか40cmのパットを外し、プレーオフ進出を逃したことがある。
 ワトソンは試合後、こう語っている。「涙が出るほど悔しい。ずっと優勝を夢見てきた。できると思ったけど、最初の18番で、それが叶わなかった」昨年のG・ノーマンの活躍といい、今回のワトソンといい、忘れ去られたかつてのスターが突然、舞い戻って大活躍をする、という映画の世界のようなことが、現実に起きている。我々シニアにとっては、とても痛快であり、ワトソンには何としても勝って欲しかった。しかし、敗れながらもシニア・ワトソンの活躍は我々に勇気を与えてくれた。私のブログにも2日前わずか数行書いたのみなのに、トム・ワトソンで検索して来られる方が多数いる。それだけ、注目されている出来事である。
 バリバリの若い時代に400Yd飛ばすと豪語した”脅威のトム”が、レギュラーツアーでは近年はすっかり忘れ去られていたが、老兵トム・ワトソンとして生還し、ボロボロになりながらも、金字塔を打ち立てようとした、その強い気持ちに乾杯したい。