神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

フリーペーパーについて考える

macky-jun2009-01-23

  雑誌の売上・発行部数が96年をピークにして、以降マイナス成長が続いている。書店やコンビニの店頭を見てもわかるように、雑誌の種類はもの凄く多い。新しく発刊される雑誌も多いが、休刊・廃刊に追い込まれる雑誌も増えている。時代は流れ、人の趣味嗜好も変わっていくので、その時代時代に果たした使命を既に無くしてしまった雑誌が退場していくのは世の流れである。情報の収集手段が雑誌からネットに移行しているのも、雑誌が96年を境にピークアウトした背景の説明となろう。http://d.hatena.ne.jp/macky-jun/20081123
 一方で、巷にあまた出回るようになったフリーペーパー・フリーマガジンが有料の雑誌を圧迫しているように思う。雑誌はもはや金を出して買うものではなく、無料で手に入れるものである、という風潮さえあるのではないか。フリーペーパーの代表的なものとしては、リクルートが出している「R25」その女性向け版である「L25」、東京メトロ駅に置いてある50代をターゲットにした「GOLDEN min.」(スターツ出版)、都営地下鉄駅には文学志向の街歩き誌「中央公論Adagio」(中央公論新社)、永井荷風「日和下駄」をベースにしたと思われる街歩き誌「東京時間旅行 荷風」(日本文芸社)、私の銀行の後輩近藤正純ロバート君が創っている、バイク・車情報満載の趣味誌「ahead」(レゾナンス)・・・ざっと挙げただけでも沢山ある。
 どれも、それ程厚くはないので、気楽に読めるのを特徴にしている。無料とはいえ、プロのライターや写真家がページを創っているので、結構面白く読ませてくれるものも多い。忙しい現代人にとって電車待ちや乗車時間を埋めてくれる、適当なページ数である。中にはとても有益な文章や情報であり、保存しておきたいものさえある。比べて、有料雑誌のボリュームは、有料ゆえに求められるプレッシャーからか、厚すぎるように思う。悪く言えば、どうでもいい情報で水増しされていることさえある。
 雑誌は作家やライターの執筆にかける時間、編集の工数を考えると、一冊作るのに膨大な時間がかかっている。写真も絵も豪華なものが多く、製作原価を売上だけで賄える雑誌は殆ど存在しない。雑誌の価格もここ20年位はあまり上がっていない。相対的に内容、情報からすれば、わずか数百円で買えるのでとても安いと私は思う。当然ながら、雑誌広告収入で賄ったり、記事や特集をムックのような書籍で2次利用をしたり、コンテンツを版権として海外に売る副次収入であったり、いろいろな形で回収していくビジネスモデルとなっている。フリーペーパーの場合はそもそも無料なので、完全に広告収入が唯一の売上となる。出版社としてフリーペーパーに参入するのは、有料の雑誌を扱っている立場から、自己否定に繋がるので躊躇するが、リクルート中央公論新社JTBパブリッシングのように既に参入済みの会社もある。有料の雑誌を扱う出版会社としては、とても難しい時代になってきたけれど、今後どんなビジネスモデルを描いていくのが望ましいのだろうか。