神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

(5) -天候について-

macky-jun2008-05-10

 朝起きた時から雨が降っていて、午後になってからだんだん強くなってきた。明日も天気予報は雨。たぶん午前中いっぱい雨は残るだろう。明日は年に数回しかやらないゴルフに行く予定なのだ。せめて、この時くらいは晴れてほしい。
 ジョンブルのスポーツであるゴルフは天候が悪いから中止になることはあまりない。雪が降るとか(グリーンでパットした球が雪だるまになってしまう)、嵐とか雷とか台風の時は中止もありうるが、雨が強いとか風が強いくらいでは実施される。英国の天候は夏でも悪く、セーターが必要なほど、気温が下がることが多い。Linksコースでは海風が強いのが当たり前で、風向きによっては50〜60YDくらい飛距離が違うものなので、クラブ選択も、球の弾道の高さの打ち分けも選択が難しい。全英オープンを見ていると、ラフは下半身が隠れてしまうくらいボーボーと生えており、まるで自然の野原でプレイをしているようである。英国のコースはオーガスタ・ナショナルの美しい庭園のような人工的なコースとは全く違う、自然そのものである。以前、日本の代表的なトッププロのJ.Oが全英オープンではいつもいい成績が出ないことに苛立って、かのセント・アンドリュースのオールドコースを「こんな河川敷コース、2度と来るもんか!」と負け惜しみで、捨て台詞を吐いたことがあった。日本の易しいコースに慣れたお山の大将である彼には、戦略性を要求される全英オープンコースには対応できなかった。英国人の考え方はゴルフは自然との戦いであるということなので、天候が悪かったり、風が強かったりすれば、それに応じた戦い方をしなければならない。コンディション次第でまったく違うコースになってしまうのだろう。
 2年ほど前にもの凄く不思議な、面白い体験をした。銀行同期の親友Y君とはよく2人でゴルフに行く仲であるが、その日も彼のホームコースである東名御殿場CCにツーサムでラウンドするつもりで向かった。朝から雨が降っていたが、コースに辿り着くと更に雨が強く降っている。おまけに霧がひどく、まったく視界がきかない状況だった。富士裾野に特有のよくある霧だ。レストランでコーヒーを飲みながら様子を見ることとする。同じように何組かが天候の回復を待っていたが、プレイせずに引き返す人が多かった。地元のメンバーだったら、わざわざこんな時プレイして、不愉快な気分になることもない。我々はわざわざ東京から高速道を飛ばして、やってきた身だ。簡単に引っ込むわけにはいかない。結局、勇を鼓してラウンドすることにした。
 キャディマスターのおじさんが「お客さん本当にいいんだね。」と念を押した。1Hでも回れば、プレイ代は返金されないのだ。「アイアンの練習だと思って回るんだね」と言ってくれた。確かに50YD先が霧に煙って見えない状況だ。幸い、コース戦略Guide Bookを持ってきたので、そのコースマップを頼りに、距離のみあてにひたすら真っ直ぐ、真中にアイアンで打っていくゴルフに徹した。Inスタートで、10Hの344YDを4番アイアンで打って、次に6番アイアンで打って、グリーン近くに運んで行くというスタイルである。不思議と大きく崩れず、15H終わってPar2つ、Boggy3つ、ダボ1つと普段とあまり変わらないスコアで回れた。残り3Hをトリプル、ダボ2つで崩したが、小生が48、Y君が56だった。パットが好調で15パットで収まったのが良かった。
 天気も悪く、他に回っている人も殆どいなかったので、スルーですぐ続けて回ることにした。後半のOutで奇跡が起こった。引き続き、アイアンのみしか使わないゴルフだったが、ボールは殆どフェアウェイをキープし、ミスショットも殆どなく、コースが見えないにもかかわらず、不思議とグリーンをよく捉えており、7Hまで1オーバーの好スコアできていた。普段はコースが見えても、その通りに打球は飛ばないものなのに、この日は極めて逆説的にうまくいったのだった。8Hのショートホールでバーディーを取り、イーブンパーとした。最終9Hは相変わらず何も見えず、あきらめ気味でレイラーで打ち、残りは上りの170YDが残った。4番アイアンで打った球が不思議なほど完璧なショットで、グリーン正面方向に向かっていった。花道グリーン手前2〜3YDの好位置にあった。十分Parが狙えると思った・・・のが甘かった。このアプローチが2YD程オーバーしてしまった。返しのパットも入らずで、Parプレーチャンスを逃し、結局37の1オーバーで回った。これまでもハーフ37がベストだったので残念ながらタイ記録だった(悔しい〜)。後半はバーディー2つ、Par4つ、Boggy3つだった。パットがチップイン1つを含む13パットとめちゃくちゃ良かったのが好スコアに繋がった。
 途中ドライバーを2回だけ使ったものの、殆どアイアンのみで回った。アイアンで距離を正確に刻んでいけば、たとえ視界が悪かろうとも、こんなスコアが出ることがある。ドライバーで払い打ちをするのと、アイアンを打ち続けるのと筋肉の使い方が違うのではないか、と思える。アマチュアは交互にそれを行なうが、技術がないのでうまく対応出来ず、調子を崩す。アイアンのみ使って、体に単一の筋肉の使い方を覚え込ませてしまえば、ミスショットも無くなるのではないかと思う。だけど、ゴルフはそれでは面白くないのが、悩ましいところだ。
 五里霧中のまったく先が見えない世界を、ただひたすら真っ直ぐ、コツコツと打っていく。実に哲学的で、人生そのものを暗示しているような、不思議な体験だった。天候が悪いと、雨がバリアーとなって周りとは隔絶し、自分一人の世界に没入できるので、精神集中できるというメリットがある。だから、ど快晴の気持のいい日よりも不思議といいスコアがでることが多いのも確かだ。好天だとつい気分がよくなって、ボーっとしてしまうのだ。自分は悪天候に向いたゴルファーなのかもしれない。