神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

地下鉄(メトロ)に乗って

macky-jun2008-02-24

 「地下鉄はいい。冬は暖かいし、夏は涼しい。」こんなセリフが浅田次郎の「地下鉄(メトロ)に乗って」に出てきたかと覚えている。毎日、通勤に乗っているし、日常の移動は殆ど地下鉄だ。当然ながら地下鉄に対する思い入れは深く、僕は地下鉄ファンだ。東京の人はおそらく多かれ少なかれ、皆そうだろう。
 地下鉄に関する小説の中で特別な思いがあるのが、浅田のこの小説だ。かつて何度か読み返し、都度ボロボロと泣いてしまった感動的な作品である。一昨年(2006年)の10月には映画化もされている。もちろん、観にいってひっそりとひとり涙に浸ったのは言うまでもない。原作を読んで、映画化されたらどんなにいいかと待望していた作品だった。
 主人公の真二(堤真一)が地下鉄に乗って、かつて自分が住んでいた昭和39年東京オリンピックの頃の新中野や、戦中・戦後の東京の町にタイムスリップしてしまうのがモチーフとなっている。そこで、その時代毎の歳の違う父親(大沢たかお)に会い、反目し、わだかまりを持っていた気持ちがだんだん氷解していくという物語である。
 昔の銀座の街や地下鉄路線をどう描くのかなと思っていた。だけど、今はCGを使えば何でも出来てしまうよね。しかし、この映画の篠原哲雄監督は偉くて、極力CGを使わず実写に拘った。やっぱり迫力が違うものね。それで、新中野の鍋横商店街は静岡県伊東市の商店街がイメージに近く、ロケを行ったらしい。新中野駅はイメージが一番昭和39年に近いということで、東西線竹橋駅が使われた。毎日通る駅です。なるほどあの薄緑色の銭湯にあるようなタイルと鉄骨剥き出しの柱はたしかにレトロだよね。
 実は僕も新中野には昭和38年から43年まで住んでいたことがあり、原作の時代の新中野にまさにいたことになり、他人事ではない気がする。鍋横商店街には仲の良い友達がいまだにいる。今でもたまに会うモンタ君なんだけど、老舗のお茶屋の店主をやっている。あの赤と室内がピンク色の丸ノ内線車両は今ではアルゼンチンを走っているらしいけど、家族で何度も乗った懐かしい思い出の車両だ。
 映画に戻ると、恋人のみちこ(岡本綾)が常にからんでくるKey Personなのだが、共に偶然時空を超える旅をしてしまったために、あまりにも切ない最期が待っている・・・。 詳しくは小説なり、映画を観て欲しいが、ここが何とも泣かせてくれるところだ。
 それにしても、岡本綾さんはいつも薄幸な役が多いね。可哀そうに・・。彼女を最初に観たのは95年の「学校の怪談」の幽霊の少女役だ。まだ、彼女が12〜13才の子役時代だったけど、少し大人っぽい清潔な色気と可憐さを持っていた印象的な少女だった。大人になった岡本綾さんが出たNHKドラマ「オードリー」の主演もどこかHappyではない役どころだった。あんな事件に巻き込まれ、今は事務所を辞め、長期休業をされているらしい。元気に復帰されるのをファンとしてお待ちしてます。
この手のタイムスリップものは「時をかける少女」や「Back to the Future」シリーズをはじめ、沢山あるが、どれも惹かれる。誰にでもタイムスリップしてみたいという願望はあるのだろう。いつの時代に行ってみたいと思うだろうか。誰に会ってみたいと思うだろうか。また、会ってみたい自分はいつの頃の自分だろうか。